研究課題/領域番号 |
17658044
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用微生物学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
吉野 貞蔵 九州大学, 大学院農学研究院, 助教授 (80117291)
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研究分担者 |
後藤 正利 九州大学, 大学院農学研究院, 助手 (90274521)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2006年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2005年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | アセトン・ブタノール菌 / クオラムセンシング / オートインデューサー |
研究概要 |
アセトン・ブタノール菌は継代培養あるいは連続培養すると、主要発酵生成物であるアセトン・ブタノールの生成能を失った退化株が主要菌株となることが知られている。高ブタノール生成性アセトン・プタノール菌Clostridium saccharoperbutylacetonicum N1-4の退化株DGN3-4は、ソルベント生成遺伝子オペロン(bld、ctfAB,adc)を失っていないにも関わらずそのアセトン・ブタノール生成能が著しく低下していた。野生株は対数増殖期に有機酸(酢酸、酪酸)を生成し、定常期にいたってアセトン・ブタノール生成へと代謝転換するが、退化株はその代謝転換能に欠陥を有すると推考された。 我々は、退化株DGN3-4の代謝転換能を回復する因子が野生株細胞外に蓄積されることを見出し、本物質が代謝機能を大幅に変換する新規なクオラムセンシング系のオートインデューサーであると考察し、その精製を試みた。 まず、細胞外に蓄積される野生株代謝転換因子factor Sを限外濾過、逆相カラムによる濃縮、さらに逆相、順相の両高速液体クロマトグラフィを行い精製した。本精製標品は、退化株のアセトン・ブタノール生成能を回復能を保持していた。さらにコレステリル基による逆相カラムによる生成を行い、MS解析した結果、代謝転換因子の分子量は718Daであることが示唆された。FMOC-Clにより置換されなかっとことからペプチドである可能性は低いと考えられた。 一方、本代謝転換因子factor Sの添加により回復する機能を見出すため、factor S添加条件下のタンパク質プロファイルを非添加条件下および野生株と比較したところ、factor S非添加条件下では野生株対数増殖期と同様のプロファイルを示し、添加条件下では野生株定常期と同様のプロファイルを示すことが明らかとなった。添加後発言量が著しく増大したタンパク質スポットの同定を行ったところ、ADC(アセトアセテートデカルボキシラーゼ)、Hsp18(熱ショックタンパク質)の増大が認められた。 以上の結果から、factor Sはアセトン・ブタノール生成能など本菌生育に重要な細胞機能に影響を与えるばかりでなく、細胞代謝転換の全般に影響を与えるものと考えられた。
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