研究課題
萌芽研究
近年・苦味・甘味・うま味等の味覚レセプターが同定され、味覚に関して未解明な点を分子レベルで検討することが可能となってきた。苦味の感受性は個人によらて異なっており、例えばアブラナ科植物の苦味を拒否する集団が存在する。疫学的調査では、アブラナ科植物の摂取量が少ない集団での発ガン率が高い結果が出ている。これは、レセプターの感受性の個体差と関連している。本研究は、ヒト被験者の舌の表皮組織及び唾液を非侵襲的に採取して、そのDNAから味覚レセプターを個体ごとに解析して、苦味感受性の個人差を分子レベルで明らかにしようと企図した。併せて、関連性のある味とされる渋味感受性についても、被験者とラットを用いてその渋味の発生する機構を科学的に明らかにすることを目的とした。1)渋味受容に関する研究渋味の受容機構をラットの鼓索神経応答から検討した結果、酸性化グリシニンでは唾液中イオン成分が、タンニン酸では唾液中たん白質がそれぞれ渋味の受容に関与していることが推測された。また、酸性化グリシニン溶液では、NaHCO_3溶液の添加量に応じて応答が強くなったことから、酸性化グリシニンの渋味発生機構に唾液由来のNaHCO_3成分が大きく寄与していることが示された。2)ヒト被験者の苦味レセプター遺伝子SNP(遺伝子多型)解析本研究により、ヒトDNA調製法、SNP検出法が確立でき、左右の口腔内頬を綿棒でこすることによるサンプリングにより、SNPの検出が可能となった。PROP(プロピルチオウラシル)の感受性がTAS2R38のSNPの組み合わせ、ハプロタイプによって決定されていること、さらに、今回SNPアレルのホモ、ヘテロの組み合わせに規則性があり、集団をタイプ分けすることができた。今回、オーファンレセプターであるTAS2R55のnucleotide位置587、794、875の3つのSNPがカフェインの苦味感受性に関与している可能性が示唆された。
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大豆たん白質研究 9巻
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