研究概要 |
HPLC,MSあるいはELISA法等の分析手法に頼ることなく迅速かつ簡便なバイオマーカー検出システムを構築するため、アクリルアミドゲルテンプレートの最適化とジペプチド捕捉性を検討した。 1)アクリルアミドゲルの重合条件の設定:マーカー分子として水溶性蛍光試薬である5(6)-carboxyfluoresceinを選択し、アクリルアミドを用いて包摂試験を行った。その結果、5(6)-carboxyfluoroscein(1.2mg)、acrylamide(269mg)、N,N'-methylenebisacrylamide(30mg)、10%ApS(10μl)、5%N,N,N',N'Otetramethylethyldiamine(1μl)混合組成において5(6)-carboxyfluoroscein存在下でのアクリルアミドの重合と特異的捕捉が認められた。 2)同ゲルをPVDF膜を装着したマイクロプレート(孔径:0.45μm)内で作製し、20mg/wellのテンプレート形成wellを作製した(室温、24時間)。ゲル硬化後、吸引と脱イオン水による繰り返し洗浄(×3)を行い、蛍光強度として1000以下のテンプレート担体を作製することができた。 3)0-100μg/ml濃度の各種5(6)-carboxyfluoresceinを調製し、テンプレートwellに対して自然落下方式により蛍光溶液を浸潤させた。その後、脱イオン水による未吸着成分を脱離処理後、蛍光分析(Ex:485nm、Em:535nm)に供したところ、10μM濃度以上で蛍光強度として10000以上の値を得ることができた。すなわち、本シート材には5(6)-carboxyfluoresceinに対して十分な捕捉領域を有するporeがポリアクリルアミドゲル架橋構造内に形成されていることを示唆しており、テンプレート機能を有した機能担体として活用可能なことを示すことができた。 4)Val-Tyr共存、上記最適条件下でアクリルアミドによる重合包摂を行い、Val-Tyr濃度10μMのテンプレートゲルを作製した。遠心処理、吸引して得られたペプチド捕捉性テンプレートに対してVal-Tyrを40nmolまでのスケールで負荷したところ、220nm検出レベルでは十分な捕捉活性が認められなかった。これは、作製ゲルの捕捉容量が10nmolであったことに起因しており、捕捉後のペプチドの蛍光誘導体化等の高感度検出化が必要なことが示唆された。
|