| 研究概要 |
1.フクロウ等,野ネズミ捕食者の行動特性,餌及び行動域調査
海岸クロマツ人工林において,自動撮影ビデオカメラを用いて野ネズミ捕食者(タヌキ・ノネコ)の出現と野ネズミの活動に与える影響を調査した。その結果,捕食者が出現しない場合は,設置した種子のほとんどが3日以内に野ネズミにより消失した。一方,捕食者が出現した場合,種子の消失速度が著しく低下した。このことからフクロウ等の捕食者の存在は,野ネズミの活動を制限し,森林の更新に影響を与えていることが明らかになった。
2.野ネズミの種組成、密度及び生息場所選択調査
新潟県下越地方の海岸クロマツ人工林において,植生構造,捕食者が野ネズミの種組成、密度及び生息場所選択に与える影響を3〜5日間連続の標識再捕法で調査した。その結果,種子捕食・散布者として重要なアカネズミは植被のある場所では例外なく出現したが,特にフクロウ等の猛禽類の補食行動を妨げるヤダケが繁茂した環境を選考した。
3.人工林内への広葉樹の侵入・定着調査
カラマツ人工林内に侵入・定着している広葉樹の樹種,大きさ,樹齢及び空間分布を調査した。その結果,野ネズミの生息密度に影響を与えると考えられる林齢,間伐強度などと広葉樹の侵入特性の間に一定の関係がみられた。
4.野ネズミによる種子捕食行動調査
1.で調査した林分に生育する樹木の種子の野ネズミによる捕食,消失過程を,自動撮影ビデオカメラを用いた間接観察により調査した。その結果,アカネズミの社会的地位により種子の捕食,貯食行動に大きな違いが認められた。
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