研究課題/領域番号 |
17658074
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
林学・森林工学
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研究機関 | 東京農業大学 (2006) 兵庫県立大学 (2005) |
研究代表者 |
上原 巌 東京農業大学, 地域環境科学部, 助教授 (80350891)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2006年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2005年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | 森林療法 / 中山間地域 / PTSD / 病院 / 森林環境 |
研究概要 |
国立病院機構天竜病院(静岡県浜松市)小児精神科の入院患者およびデイケア患者を対象に、同病院周辺に位置する静岡県立浜北森林公園において、毎週1〜3回程度、午前中の3時間前後を使って森林散策を中心とした森林療法を実施し、その効果を臨床的に調べた。研究の実施にあたっては、天竜病院倫理委員会の承認を受けた。 研究の方法は、対象者の行動変容を調べるためにCBCL (Child Behavior Check List)を用い、また生理的な変化を調べるために、ストレス指標として、血中DHEA-S、尿中のアドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミンの定期的な測定を行った。 対象者の行動の変容としては、「ひきこもり」「社会性」「攻撃的行動」などの尺度において特に顕著な改善変化がみられたほか、他の「身体的訴え」「不安/抑うつ」「思考」「注意」「非行的行動」など全ての尺度においての改善が認められ、それぞれ統計的な有意差も認められた(p<0.005〜0.1)。 また、生理的な変化としては、それぞれ個人差は大きいものの、血中DHEA-S、尿中のアドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミンのそれぞれの測定項目で、過半数以上の数値改善が認められた。 治療における森林療法導入の効果としては、散策に伴う運動や気分転換、季節感、自然環境の感受などのほか、森林体験による参加者同士のコミュニケーションの促進や、自己理解、他者理解の促進などもうかがえた。カウンセリング的な観点においても、院内の室内の相談室で向き合いながらカウンセリングを進めるよりも、森林環境で過ごしながらのカウンセリングは、より自然な雰囲気で、進めることができ、対象者の対人ストレスも低下している様子がうかがえた。 以上、本研究により、中山間地においては、身近な森林環境を利用することにより、心理的、生理的にも効果のある森林療法をPTSD疾患の対象者に実施することのできる可能性が示されたものと考えられる。
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