研究概要 |
自律走行や精密農法で用いられる高機能車両を普及させるため,全方位視覚センサによって圃場内の位置と移動速度,および姿勢変化を検出するシステムを構成し,高精度のナビゲーションシステムを低コストで提供することが本研究の目的である。研究の申請時はオプティカルフローにより車両の移動量を検出し,それを積分して車両の位置を計算することを目指していたが,18年度の研究で高解像度のカメラを使用すれば,圃場外に設置したランドマークの画像から,車両の絶対位置を測定できる可能性があることが判明した。移動量の積分では累積誤差が生じるが,絶対位置の測定ではそれが無いため,高精度のナビゲーションを行える可能性がある。そこで19年度はより広いスペースで実験を行い,位置測定の精度を調べた。実験は48m四方の平地で行い,その四隅に道路工事用のコーンを設置した。四角形内を12m間隔で区切るグリッドの交点である9箇所の地点で撮影を行い,四つのコーンの方位データからカメラの位置を同定した。その結果測定誤差は最大で35cm,平均で16.5cmであり,飼料生産に関わる作業など,それほど精度を要しない作業には十分適用できる測定精度が得られた。またオプティカルフローに関しては姿勢の変化を検出するプログラムを開発した。これらの研究によって測定精度については実作業に適用できる可能性が見い出されたが,リアルタイムで測定するにはプログラムの改善が必要であり,車両に搭載してナビゲーションを行うまでには至らなかった。今後,更に精度を向上させるとともに,処理速度の高速化を図る必要がある。
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