研究概要 |
本年度の研究成果は以下の通りである. 様々な条件で放牧牛から録音したデジタル音響データを、コンピュータに取り込み、音響解析ソフトによる解析方法について検討した。喫食音、咀嚼音および嚥下音を、単一の音波形データから、分離分別し、時間経過にともなう回数、時間、リズムの変化を測定するための方法について昨年度に引き続き検討した.その結果,喫食と咀嚼の回数と時間については分離解析が可能であった.しかし,喫食と咀嚼の違いは明確となったが,喫食と同時に咀嚼が起こる時の判別が困難であった.パーソナルコンピュータと音響解析ソフトウエアにより、各音を周波数解析し、それぞれの音の特徴を把握すると同時に、放牧条件による周波数特性の変動域を確認した. 牧草の草高が大きく異なる二つの放牧地に乳牛を放牧し、これまで確立した方法論で測定と解析を行い、咀嚼音と喫食音を測定し,牛個体ごとの放牧草採食量との関連について検討した.乳牛における喫食および咀嚼動作に及ぼす草高の影響を検討した結果,草高はフィーディングステーション(FS)での喫食動作に影響を及ぼすが咀嚼動作には影響を及ぼさないことが示された.すなわち高草高におけるFSでの喫食速度は低下し,これは咀嚼回数の増加によるものではないこと,さらにFSでの喫食速度は滞在時間が長いものほど遅くなり,咀嚼速度は滞在時間に関わらず一定であること,また,草高およびFS滞在時間による喫食あたりの咀嚼回数の変動はFSでの喫食速度の変動によることが明らかとなった.
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