研究概要 |
マメ科,イネ科,キク科,アブラナ科という根粒菌や菌根菌との共生関係で異なる4科の作物を用いて,根圏に棲息する微生物の群集構造の差を解析した。用いた作物は,大豆,レンゲ,小麦,トウモロコシ,ゴボウ,シュンギク,ナタネ,ダイコンである。グロースチャンバーで4週間生育させ,根圏域の土壌からDNAを抽出し,バクテリアと真菌類を特異的プライマーによて増幅させた後,DGGE法(変成剤濃度勾配電位泳動法)により,微生物群集構造を比較した。その結果,植物科間でバクテリアには差がないものの,真菌類では差が見られた。これらの差が再現性があるかを検証するために,大豆とトウモロコシを供試し,クロボク土と沖積土の異なる土壌で栽培し,2,4,6週間後の根圏微生物の構造を比較したところ,前試験と同じように,バクテリアには作物間で差は見られなかったが,真菌類には差が生じた。さらに,真菌類に見られた差は,異なる土壌でも同じように見られたために,土壌に左右されず作物と真菌類の間に根分泌物質を介した相互作用が発達していることが示唆された。生育時期間の解析から,作物と土壌真菌類との間の関係は,出芽後2種間から4週間の間に見られることから,播種後直ちに,根圏域における植物と真菌類の共生的関係が成立するものと示唆された。
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