研究概要 |
本年度は、胃癌の早期診断、個性診断を行なうために、SAGEで同定した遺伝子を中心としたミニプロテオームアレイを作成する目的で以下の通りに実施した。 (1)SAGE法などの網羅的遺伝子発現解析に基づいた新規癌特異的遺伝子の抽出:SAGE法において、胃癌と正常臓器のライブラリーの比較から抽出した候補遺伝子54個から9遺伝子が癌特異的であると確認しているが、本年度はSAGE法で得られた遺伝子発現リストと約45000プローブを解析できるGeneChip(Affymetrix社)で胃癌で発現態度の異なる遺伝子リストの比較を行なった。癌で発現減弱を締る遺伝子に共通性が高かったのが、発現亢進するものに重なりは少なかった。GeneChipのみで発現亢進していたものについての定量的RT-PCRの結果、PLUNC, HOXA10等の遺伝子で50%以上の症例においての過剰発現が確認された。 (2)Recombinant蛋白の調整およびモノクローナル抗体の作成:順次Recombinant蛋白の調整、モノクローナル抗体の作成を行なっており、いくつかはWestern Blotおよび免疫染色での反応性、特異性が確認できた。血清診断への応用に関しては、ELISAによるREGIV, NMP-10の検出に加えて、新規の遺伝子xの蛋白の検出も確認された。 (3)ミニプロテオームアレイの作成:これまでに癌において発現か亢進していることが知られている既知の蛋白(EGFR, TGFa, など)を含む約20抗体を用いて、インクジェットアレイヤーでスライドガラス上に少なくともtriplicateでスポットしたミニアレイを作成した。これを用いて、新鮮凍結組織および血清サンプルにおける蛋白発現、蛋白レベルの測定を開始した。特異性および定量性の確認、臨床病理学的事項との関連解析は今後の課題である。
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