研究概要 |
一般的な乳癌に比し,著しく予後不良な広範リンパ節転移乳癌を対象としたプロテオーム解析の結果(H17年度)得られたCOL14A1につき,分子標的治療の対象となり得るかににつき検討した. COL14A1の高悪性度乳癌における発現検討のため,外科的切除材料を用い,免疫組織化学にて検索を加えた.結果,invasive micropapillary carcinoma症例でCOL14A1蛋白の特異的な顕著な高発現を認めた.これを基に治療の可能性を検討すべく,加えて,COL14A1のin vivoでの機能解析のため,MDAMB231細胞ならびにHEK293細胞にCOL14A1発現ベクターtransfectantを作成した。現時点では,stable ce11の確立は行えたが,動物接種による転移動態解析はこれからである。これとは別に,in vitroの治療可能性評価のため,種々の乳癌培養細胞におけるCOL14A1発現を検討し,Hs.578T細胞で明らかなCOL14A1分子発現を認めた.抗COL14A1抗体にdoxorubicinをスペーサーで結合し,抗癌剤結合抗体を作成した.これをCOL14A1高発現株Hs.578T細胞に添加したところ,濃度依存性に増殖阻害を示した.現在引き続き,バイオマーカーとしての有用性,治療への応用可能性につき臨床材料を用いた検討,動物実験による分子標的としての評価を行っている.また,前年度得られた特異的分子を新たなアルゴリズムで検索したところ,新たに6つの標的分子が見出され,varidationを行っている.これら結果を基に,国際特許を申請し,また,論文作成中である.
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