研究課題/領域番号 |
17659167
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
病態検査学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
康 東天 九州大学, 大学院医学研究院, 教授 (80214716)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2006年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2005年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | ミトコンドリア / ミトコンドリアDNA / がん細胞 / 老化 / 遺伝子診断 / DNAチップ / ヘテロプラスミー / ホモプラスミー / ミトコンドリアゲノム / 癌 / 遺伝診断 |
研究概要 |
従来ミトコンドリアゲノム異常は、神経・筋異常を来たす稀な先天的疾患であると考えられてきた。申請者はこの10年いち早くその酸化障害修復と維持機構研究に取り組んできた。最近は、老化、糖尿病、心不全、癌などのより一般的な疾患においてミトコンドリアゲノム異常がその病態に深く関わっていることが次々と明らかになり、体細胞性の変異蓄積の重要性が再認識されている。今回癌細胞におけるミトコンドリアゲノムの変異についてその診断的価値について検討を始めた。ミトコンドリアゲノムは環状DNAで1細胞当たり数百から数千コピー存在する。このように多コピーで存在するため、一部ミトコンドリアDNAに変異が生じても正常DNAと変異DNAが1細胞内に混在することになり、この状態をヘテロプラスミーと呼ぶ。一方正常型か変異型かのどちらかのみが存在する状態をホモプラスミーと呼ぶ。近年様々ながん細胞ミトコンドリアDNAで同一個体の周辺非がん部組織に見られないホモプラスミー変異が高頻度(70-80%)で見られるという報告がある。少なくとも、このホモプラスミー性の変異は細胞のクローナルな増殖を反映し腫瘍性変化のよい指標となる可能性が指摘されている。今回まず1細胞PCRでミトコンドリア遺伝子の全塩基配列決定できる検査システムを構築することを目的とし、1細胞からのミトコンドリアゲノム全領域のPCR増幅と全塩基配列決定系を確立した。一方、癌細胞におけるヘテロプラスミー性変異の頻度とその臨床的意義を明らかにすることおよび臨床応用を考えた配列決定の迅速化のため、現在Affymetrix社のMitoChipと言うDNAチップを用いたヘテロプラスミーの検出測定系を検討中した。実際の患者サンプルと2種のDNAを混合した人工的なヘテロプラスミーサンプルを用いた。まず、配列の同定能力が95%程度で、実用的検査には使えないレベルであった。またヘテロプラスミーの検出も10%程度で通常のシークエンサーに勝るのもではなかった。現時点では上記のDNAチップは臨床現場に使える段階にはなかった。
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