研究課題/領域番号 |
17659170
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
病態検査学
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研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
坂田 憲昭 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手 (70158921)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2006年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2005年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 黄色ブドウ球菌 / 菌体外タンパク質 / 感染症 / 診断法 |
研究概要 |
昨年度は試料中IsaA検出のための高感度な系(検出感度:1.5ng/ml)を確立した。本年度はこれを用いて、生体試料測定時に問題となる点についてさらに検討し、実際に血清中IsaAの検出を試みた。 IsaAを指標として、黄色ブドウ球菌感染をいち早く確実に把握するためには、このタンパク質が、感染・増殖における早期段階から存在する必要がある。そこで、その産生プロフィールの詳細を調べた。その結果、培養上清中のIsaAは、増殖の開始直後から検出され始め、その量は菌増殖に伴って指数関数的に増加し、定常期の初めまで維持された。また、菌体表面上には対数増殖期を通して一定量のIsaAが常に存在していた。 感染患者血清中には、黄色ブドウ球菌の抗原タンパク質に対して多量の抗体の産生されることが予想される。こうした抗体はIsaAの抗原部位をマスクするため、検出系の感度を大きく低下させる可能性がある。そこで、IsaA抗体の存在を骨髄炎患者血清と健康人について調べたところ、患者血清に高力価の抗体が確認された。一方、健康人ではその抗体価は全体的に低く、検出系のシグナル強度から両者を明確に区別することが可能であった。しかしながら、健康人由来であっても、一部の試料では患者のものと差のないシグナルを生じた。そこで、そうした血清中に存在する抗体の検出系に与える影響を調べるため、高力価抗体を有する健康人血清にヒスチジンタグ標識IsaAを添加しその検出を試みたところ、抗原タンパク質の存在を示す明確なシグナルは得られなかった。そこで、抗原抗体複合体を解離させるため、試料に熱処理を施したところIsaAの検出が可能となった。 以上、本研究で確立した系を用い、感染に伴う黄色ブドウ球菌の増殖を極めて初期の段階で、IsaAを指標として捉えることが可能であった。今後、更なる感度の向上や常在する抗体のより有効な不活化方法等を検討し、また、検査に適する試料の選択や臨床経過と検査結果の相関等を明らかにして、実用化につなげて行きたい。
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