研究課題
萌芽研究
変異SOD1特異的ユビキチンリガーゼ(E3)であるDorfinの導入によりALSモデル動物である変異SOD1-Tgマウスの生存期間を延長しうるが、その効果は十分でない。Dorfinの半減期が短く、Tgマウスにおいて高発現を長期間維持することが難しいことが原因と考えられたため、我々はこのDorfinの欠点を克服し治療効果を高めるために、変異SOD1特異的結合能を保持しつつ、より安定して発現する人工E3の開発を試みた。DorfinのC末端側にある疎水性部位が変異SOD1結合ドメインであることを同定し、強力なE3活性を有するCHIPのユビキチン化活性部位と融合したキメラタンパク質を作製した。変異SOD1に対する結合力が強く、十分なE3活性を保持するためには、CHIPのU-Box部位をN末端側に持ち、Dorfinの変異SOD1結合部位をC末端側に有する必要があった。野生型Dorfinもユビキチン化活性部位をN末端側に有するため、N末端側にE3活性部位、C末端側に基質結合部位を有する構造が、変異SOD1特異的E3として機能するために重要であることが示唆された。本研究により野生型Dorfinに比べ、より強力な変異SOD1ユビキチン化・分解促進活性を有し、安定して発現するキメラタンパク質Lが得られた。キメラタンパク質Lは、Neuro2aに対する変異SOD1の毒性軽減効果も野生型Dorfinに比較して強く、このキメラタンパク質を導入することで、変異SOD1-Tgマウスの治療効果が野生型Dorfinを導入した場合よりも高まることが期待できる。遺伝子工学的手法を用いて、神経変性疾患の原因タンパク質を強力に分解する人工タンパク質を開発する手法は、ALSのみならず、パーキンソン病やアルツハイマー病などの異常タンパク質蓄積により生ずる神経変性疾患の治療戦略として今後有望であると思われる。
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