研究課題/領域番号 |
17659293
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
血液内科学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
豊嶋 崇徳 九州大学, 大学病院, 助教授 (40284096)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2006年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2005年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | graft-versus-host disease / chronic GVHD / thymus / tolerance / hematopoietic stem cell transplantation / negative selection |
研究概要 |
慢性GVHDモデルの確立B6-バックグラウンド(H-2^b)のMHCクラスIIノックアウト(II-KO)マウス由来のT細胞除去骨髄を、骨髄破壊的前処置後にC3H/HeN(H-2^k)マウスに移植した。T細胞除去骨髄移植であったため、急性GVHDは発症しなかった。移植後4週目には胸腺樹状細胞のMHCクラスIIの発現はみられず、II-KOドナー由来の樹状細胞で置換されていることが確認された。このホストで再構築されたCD4+T細胞はin vitroでドナー応答性であったが、CD8+T細胞はドナーにもホストにも反応しなかった。このことより胸腺樹状細胞がMHCクラスIIの発現を欠損したことから、病的なCD4+T細胞が出現したことが確認された。T細胞除去骨髄移植後40-50日頃に体重減少、ハンチング、脱毛、皮膚硬化などの症状を呈すようになり、最終的に移植後100日後の生存率は16%であった。これらのレシピエントにおいて、病理組織学的に皮膚、肝臓、肺、唾液腺で、ヒト慢性GVHDと類似した所見を確認した。この慢性GVHDは無胸腺レシピエントへの移植では全く発症しなかったことから、胸腺依存性であることが確認できた。また、ドナーが野生型であった場合にも発症せず、胸腺のnegative selection機構の異常によって発症したことが示された。またGVHDを発症したレシピエントから分離したCD4+T細胞を二次ホストにadoptive transferすることにより慢性GVHDが発症し、CD4+T細胞が主な責任細胞であると考えられた。興味深いことにこのCD4+T細胞はドナー応答性であり、慢性GVHDの発症にはドナー由来の抗原提示細胞が必要であった。これらの結果より、胸腺由来ドナーT細胞が慢性GVHDを起こしうることが初めて証明された。
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