研究課題/領域番号 |
17659306
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
膠原病・アレルギー・感染症内科学
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
佐野 統 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (00196304)
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研究分担者 |
緒方 篤 大阪大学, 医学部, 助手 (90309451)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2006年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2005年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 関節リウマチ / 滑膜細胞 / スフィンゴシン1-リン酸 / Edg-1 / プロスタグランジンE_2 / スフィンゴ脂質 / スフィンゴシン1-リン酸受容体 |
研究概要 |
関節リウマチ(RA)の主要な病態である滑膜細胞の腫瘍細胞に似た増殖、血管新生、アポトーシスの抑制、接着分子の発現などはスフィンゴ脂質の中間代謝物であるスフィンゴシン1-リン酸(S1P)とその受容体(S1P_1)を介したシグナル伝達や細胞応答が関与している可能性がある。S1Pはセラミドなどのように刺激応答の細胞内メッセンジャーとしての役割を持つとともに、細胞から放出された後、それ自身や近くの細胞受容体への結合を介してその生理作用を示すプロスタグランジン(PG)やロイコトリエンなどと同じセカンドアゴニストとしての役割を併せ持つ。S1P_1はS1Pの細胞膜に存在するG蛋白共役7回膜貫通型の受容体である。S1P_1の機能としては、イノシトールリン酸産生、アポトーシスの抑制、細胞間接着結合形成、カドヘリン発現、カルシウム動員などが知られている。これらはRAの病態と強く関連していると考えられた。 本研究ではRAの病態におけるスフィンゴ脂質の役割を検討した。 RA患者ではコントロールの変形性関節症(OA)の患者の滑膜組織に比べ、強いS1P_1の発現が見られた。滑膜組織におけるEdg-1mRNAの存在をEdg-1(S1P_1)に特異的なプライマーを用いて、RT-PCR法で証明した。同様にヒト滑膜細胞株(MH7A)におけるS1P_1の発現も同様の方法で証明した。S1Pは培養滑膜細胞に添加すると細胞の増殖とともに、シクロオキシゲナーゼ(COX)-2の発現増強とPGE_2の産生を有意に増加させた。さらに、S1PはTNF-αやIL-1によるそれらの作用の増強効果を示した。S1Pによる滑膜細胞への作用はS1P_1を介して行われることがPTXによる前処置で抑制されることから証明された。 以上より、RAの関節破壊にスフィンゴシン代謝が関与し、その産物であるS1Pが受容体を介して様々な作用を行っていると考えられた。
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