研究課題/領域番号 |
17659310
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
小児科学
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
新井田 要 金沢大学, 医学部附属病院, 助手 (40293344)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2006年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2005年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 自閉症 / ゲノム刷り込み現象 / マイクロアレイ / X染色体 / リアルタイムPCR / DNAマイクロアレイ / リンカーPCR / 相関解析 |
研究概要 |
X染色体上の刷り込み遺伝子は自閉症関連遺伝子として注目されている。平成17年度はDNAメチル化を指標としたスクリーニングを行い29個の候補遺伝子が挙げられた。平成18年度は発現解析アレイを用いて更なる候補遺伝子を検討した。正常女性由来のEBウイルス株化リンパ球を作成し、株化の初期段階で限界希釈・クローニングすることにより、父親由来X染色体が活性化しているクローンと母親由来X染色体が活性化しているクローンとに分離した。各々複数個のクローンを得、これらを混合したRNAをマイクロアレイ解析を用いて全ゲノムに関して発現比較した。この結果、X染色体上に位置する遺伝子で、父親由来のX染色体が活性化しているクローンで発現量が5倍以上高いものが25個、母親由来のX染色体が活性化しているクローンで発現量が5倍以上高いものが7個得られた。17年度の研究と合わせて計61個の候補遺伝子が得られた事となる。これらの候補遺伝子に関して各々特異的なPCRプライマーを設計し、リアルタイムPCRにて発現量の差を定量化した。この結果、最終的に3つのX染色体上の遺伝子、CDR1,RPS6KA6,NAP1L2が母親由来X染色体での発現量よりも父親由来X染色体での発現量が有意に高いことが証明された。すなわちこれらの遺伝子は母性刷り込みをもつX染色体上の遺伝子である。 CDR1は小脳に特異的に発現する遺伝子であり、自閉症者が小脳に形態学的異常を持つことからも関連が注目される。またRPS6KA6はmTORパスウエイに関連するプロテインキナーゼであるが、mTORパスウエイは自閉症の合併率が高い結節性硬化症における中心的な細胞内情報伝達経路であり、この遺伝子の自閉症との関連は興味深い。NAP1L2は神経管の発生に重要な遺伝子である。遺伝子の5‘末端側にCpGアイランドがありDNAメチル化を受けるが、刷り込み現象との関連が注目される。以上、今回の萌芽研究において自閉症関連遺伝子として極めて興味深い3つの遺伝子が新規に同定された。これらの解析結果は現在医学雑誌に投稿準備中である。
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