研究課題/領域番号 |
17659353
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
精神神経科学
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
三辺 義雄 浜松医科大学, 医学部付属病院, 講師 (60181947)
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研究分担者 |
関根 吉統 浜松医科大学, 医学部, 助手 (70324358)
武井 教使 浜松医科大学, 医学部, 助教授 (80206937)
中村 和彦 浜松医科大学, 医学部付属病院, 講師 (80263911)
阪原 晴海 浜松医科大学, 医学部, 教授 (10187031)
森 則夫 浜松医科大学, 医学部, 教授 (00174376)
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研究期間 (年度) |
2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2005年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
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キーワード | 電気痙攣療法 / MRS / SPECT / 統合失調症 / 抗精神病薬 / ジスキネジア / 神経細胞新生 / フリーラジカル |
研究概要 |
抗精神病薬などを長期間内服している統合失調症者では、遅発性ジスキネジア(TD)の生涯罹患率は高率であり、10%-40%と報告されている。TDは発症すると不可逆性に進行することが多い。口唇や眼瞼、四肢を中心に生じる不随意運動のため、患者のquality of life(QOL)は著しく減弱してしまう。様々な薬物を用いた治療法が学術専門誌に公表されているが、その治癒率は低いのが現状である。その中で、唯一治癒率の高い治療法が電気痙攣療法である。TDの病態として、抗精神病薬の長期投与による二次的なドパミン代謝亢進により、フリーラジカルの産生が増加し、線条体に障害を来たすことにより不随意運動が惹起されると考えられている。一方、電気痙攣療法(ECT)は海馬の神経幹細胞新生を促進することが知られている。この神経幹細胞は、脳内の傷害を受けた細胞を修復する役割を果たすことが明らかとなっている。これらの事実から、ECTは神経幹細胞新生を促進させ、傷害された線条体の神経細胞を修復することによりTDを改善させると考えることができる。そこで本申請研究では、TDに罹患した者にECTを施行し、その前後でプロトン・マグネティック・スペクトロスコピー(^1H-MRS)を施行する。そして、^1H-MRSにより得られた生物学的指標(N-acetylaspartate [NAA],Choline [Cho]:神経幹細胞新生の指標;Creatine [Cr]:細胞内エネルギー利用状態の指標)のECT前後における変化の度合いを数量化する。また、^1H-MRSと並行して、脳血流SPECTも施行し、ECT前後の血流変化も数量化する。これらの変数と治療効果との関連性を検討することにより、TDの病態及びTDに対するECTの治療効果の発現メカニズムを明らかにする。 今回はその萌芽研究として、1年間の間に、3例の患者さんを大学病院に入院して頂き、ECTの前後においての精神症状症状評価、ジスキネジア評価、MRS計測、SPECT計測を行った。精神症状の評価にはPANSS,ジスキネジアの評価にはAIMS、1H-MRS計測はGE社1.5Testraを用い、関心領域は前頭前野、線状体に設定した。SPECT計測には3検出器型装置を用い、トレーサーは123I-IMPを用い、ARG法、SPM法にて解析を行った。ECTの回数は最低6回として、症状により適宜追加した。 この1年で集積された症例数は3例のみであり、目標の20名にはほど遠い。結果、統計学的な検討については現時点で不可能であるので、今後さらに症例の集積を目指す予定である。
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