研究課題/領域番号 |
17659362
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
放射線科学
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
武田 徹 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 講師 (10197311)
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研究分担者 |
呉 勁 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 講師 (20375512)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2006年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2005年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | アルツハイマー病 / βアミロイド / 位相X線イメージング / CT / 形態診断 |
研究概要 |
今日一般的に用いられているX線画像は、被射体を透過した後のX線吸収差を捉えて形成されるが、感度が低く生体軟部組織を無造影で弁別することが難しい。一方、X線の波の性質を用いた位相X線イメージング法では、生体構成元素H, C, N, Oに対する感度が従来の透過法より約千倍高く、生体軟部組織構造を無造影で画像化できるため、世界中で注目されている。我々は、位相情報を画像化する干渉計を用いた位相X線イメージング装置を開発している。本装置を用い、老齢ラットの腎臓を撮影し、糸球体機能異常のため、尿細管内に蛋白が蓄積している画像を無造影で得た。これに類似した病的な変化として、アルツハイマー病(AD)でのβアミロイドの脳内沈着があり、高感度な本技術により、このβアミロイドを描出できる可能性が非常に大きい。本研究では、アルツハイマー病モデル動物脳を撮影し、位相型X線イメージングでβアミロイドの脳内沈着が検出できる事を碓認する。 H17年度、本研究を実施するため、米国ジャクソン研究所から3組のアルツハイマー病モデル動物を購入し、病的モデルマウスの子孫を交配し、画像化実験に用いるため約百匹に増やした。月齢の6、9、12、15、18ヶ月に分けて、ADマウス及び年齢相当の正常マウスの脳固定試料を作製した。 H18年度、これらADマウスの脳内のβアミロイドの蓄積の状態を調べるために、高エネルギー加速器研究機構のPFとSPring-8の20XUで、各々の月齢のマウス脳試料の位相X線CT撮影を行った。撮影終了後、各試料の病理組織切片を作製し、βアミロイド免疫組織染色等を行い、本技術によるβアミロイド検出の感度及び精度を検討した。光学顕微鏡画像に近似して、位相X線CTで、マウス脳の構造や、主に大脳皮質と海馬領域に分布したβアミロイド斑が確認できた。βアミロイド斑の最小径は40-μm (PF)と12-pm (SPring-8)であった。現在、βアミロイドの立体的な分布と数の定量的な解析を行っている。このように、位相X線CTでは、ADマウス脳の病的変化が経時的に観察可能で、新薬の治療効果評価法として利用可能であると考えられた。
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