研究概要 |
Fas ligand (FasL)はFas発現細胞にapoptosisを誘導するII型の膜蛋白である。FasLおよび各種delation mutantをI型に遺伝子合成し、NK細胞の制御効果とその機能ドメインを異種移植の系(ヒトNK細胞-ブタ血管内皮細胞の系)で検討した。実際の構築としては、FasLの、細胞外ドメイン(N末端)より1-8 amino acid (AA),1-12AA,1-18AA,1-57AA,1-98AA,1-117AA,1-134AAおよび1-152AAに、HLA-Gの膜貫通部位(TM)に結合した形の分子(FasL-TM)を、哺乳類で頻度が高いcodonを選択しI型に遺伝子合成した。1-134AAおよび1-152AAに関しては、DAF(CD55)のPI-anchorを付けた分子も合成した。これらの合成FasLは血清中の酵素による切断部位をはずし、全例マーカーとして、FLAG-tagをN末端につけ加えた。 次に、これらを発現vectorであるpCAGGSに組み込み、ブタ血管内皮細胞(PEC)に遺伝子導入し、各lineの発現をFACSで確認した。機能はFasL-TM型の発現細胞を使い、NK依存性PEC傷害に対する抑制効果を検討した。その際、NK細胞としては、YT細胞(NK-like cell line)を使用した。 結果としては、1-57AA以上の全FasL-TMともブタの血管内皮上に高発現し、NK細胞抑制効果がみられた。しかし、1-8AA〜1-18AAについては不明に終わった。I型FasL分子の機能ドメインはN末端に限局し、NK細胞の制御に有効であることが示唆された。
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