研究概要 |
雄性SDラットに中心静脈カテーテルを挿入後,総胆膵管及び総胆管にカニュレーションしラット膵外瘻モデルを作成.各種アミノ酸単独(Valine・Leucine・Isoleucine)及び総合アミノ酸製剤(モリプロン^<【○!R】>F溶液)をそれぞれ静脈内投与し,その前後における血中・膵液中の遊離アミノ酸濃度を経時的に測定した. その結果,各溶液の投与前,すなわち基礎分泌の状態において既に,膵液中には各種遊離アミノ酸が分泌されていることが明らかとなり,その濃度は血漿中の約0.28〜0.79倍とアミノ酸の種類によって様々であった.単一のアミノ酸を投与した群においては、その投与した種の膵液中濃度が投与前に比べ投与後1時間において2〜3.5倍程度上昇していた。投与後1〜2時間目になるとそれらの上昇度合いは低下し,特にLeucine群においてはほぼ前値まで戻っていた.ValineとIsoleucineは膵液中の濃度上昇が遷延する傾向にあった.総合アミノ酸群でもその含有アミノ酸のほとんどの膵液中濃度が投与後1時間において上昇していた.また膵液分泌量は個体によって多少のばらつきは見られたが,各種アミノ酸投与によってその量が大きく変化することはなかった.血漿中では投与直後のアミノ酸濃度の上昇と,以後時間経過による速やかな下降を認めた. 今回の研究結果から,膵液中には遊離アミノ酸が恒常的に分泌されており,また各種アミノ酸を静脈内投与することにより,その投与したアミノ酸が早期に膵液中に分泌されることが判明した.すなわち,膵臓は血中濃度の変化に応じて遊離アミノ酸を膵液中ひいては腸管内に分泌することにより,生体内の遊離アミノ酸調節機構としての新たな生理機能を有している可能性が示唆された.
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