研究概要 |
無線カプセル型機器の生体内での3次元位置情報は,X線などの被爆無しに長時間正確に計測することができない.本研究では,生体内の3次元位置を非侵襲かつリアルタイムに計測することができるシステムの開発を目的とした.本システムは,マーカである小型永久磁石,平面磁界センサアレイとその駆動回路,磁界測定値の集計・計算・表示装置であるPCにより構成されている.本研究ではカプセル内視鏡の直径に合わせφ8mm×3.8mmの希土類ネオジウム磁石を採用した.磁界の計測を行なうセンサアレイには,縦横それぞれ50mm間隔で3×3の格子状に磁界センサ9個を配置した.このセンサアレイ2個を300mm間隔で正対させて配置し,センサアレイ間における磁石の位置を測定対象とした.各センサから駆動回路,A/Dコンバーターを介した後にPCへと磁界分布が集積される.PCでは,永久磁石を磁気双極子とみなし,磁気双極子から発生する磁界の理論値と実測値との差が最小となる値を,永久磁石の空間位置座標として算出する.最適値の算出にはガウス・ニュートン法を用いた.これまではフラックスゲート素子を採用していたが、計測可能な最小磁界が10mGと大きいため,システムの計測範囲が狭いことが問題であった.そこで,0.1mG〜2Gまでの測定が可能であるAMR素子を採用した.また,センサに変更に伴い駆動回路,プログラムを改良した.磁気センサの感度軸方向について測定した結果,7mG付近までは計測電圧と真値との誤差が10%を下回った.この素子を利用して,フラックスゲート素子により構築したシステムと同じシステムを構築する場合,計測範囲を400mmまで広げることが可能となる.駆動回路の改良により計測可能な最小磁界をさらに小さくすることを予定している.
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