研究課題
萌芽研究
【緒言】泌尿器科領域において、化学療法抵抗性となった癌腫は、難治性となり生命予後に直接関与する。特に若年層に多く発生する精巣腫瘍では、化学療法で約70%が治癒可能であるが、残りは難治性となり予後不良であり、抗癌剤抵抗性を克服することが現在の課題である。DNA損傷型の抗癌剤による抗腫瘍効果は、DNAの損傷と修復のせめぎあいである。このため、抗癌剤投与後のDNA修復機構を検討することで、抗癌剤感受性の増強や補助化学療法の開発が可能となる。今回私たちは、DNA修復関連遺伝子欠損細胞株におけるトポイソメラーゼII阻害剤であるエトポシドおよびアドリアマイシン(ICRF193,)の感受性を検討した。【対象と方法】ニワトリBリンパ球由来のDT40細胞を用いて、様々なDNA修復関連遺伝子の欠損細胞株を作成した。これらの細胞にエトポシドを暴露させ、コロニーアッセイによって生存率を検討した。【結果】DNA二本鎖切断後修復遺伝子の一つである、非相同DNA末端結合(NHEJ)の欠損株ku70,lig4はエトポシド・ICRF193ともに高い感受性を示した。当初予測されなかった損傷乗り越えDNA合成(TLS)の欠損株であるrev3,rad18も中等度の感受性を示した。ku70とrev3またはrad18との二重欠損変異株のエトポシドに対する感受性は、相加効果が認められ、NHEJとTLSは独立して、エトポシドによるDNA損傷の修復に関与している可能性が示唆された。VP16と同様にTLSの欠損株であるrev3にも中等度の感受性を示した。【まとめ】エトポシドおよびICRF193による抗腫瘍効果発現には、NHEJ以外に、TLSの機能低下の関与が考えられた。また、NHEJとTLSはそれぞれ独立してDNA損傷の修復に関与していた。
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