研究課題/領域番号 |
17659563
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
形成外科学
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
田中 克己 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助教授 (70244069)
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研究分担者 |
安楽 邦明 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (60380846)
秋田 定伯 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (90315250)
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研究期間 (年度) |
2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2005年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | ケロイド / 線維性増殖疾患 / システニイルロイコトルエン / 拮抗剤 / 線維症 / ヒト間葉系幹細胞 |
研究概要 |
システニイルロイコトルエンは多能性脂質介在因子であり、気管狭窄、粘液分泌、気道厚上昇、好酸球細胞の定着と血管透過性調節に関与している。これら作用はシステニイルロイコトルエン1型受容体(cycLT1)を介して働き、臨床的にもcysLT1拮抗剤は気管支喘息、アレルギー性鼻炎に使用されている。また、ヒト肺線維症はIL-13刺激後cysLT1受容体活性上昇によりロイコトルエンに反応可能であり、システニイルロイコトルエン1型受容体は慢性肺炎の重症度を制御し後の肺線維症を制御するとされる。プルンカルストはcysLT1受容体拮抗剤の一つであり、気管支喘息患者のCD34減弱と好酸球/好塩基球を減弱させ気道アレルギー誘導性システニイルロイコトルエン気道炎症病態に関与している。一方、創傷治癒モデルでは骨髄由来幹細胞は損傷を受けた皮膚再生に関与することが判明している。骨髄由来ヒト間葉系幹細胞(hMSC)はサイトカインなど外部刺激により細胞増殖しアレルギー性反応など全身病態にも臨床治療可能ではないかと推察し、hMSCとシステニイルロイコトルエン拮抗剤とがケロイドなど線維性増殖性疾患治療に応用可能ではないかと考え検討した。システニイルロイコトルエン1型受容体はヒト間葉系幹細胞において発現することがRT-PCR法で判った。hMSCにおけるシステニイルロイコトルエン1型受容体の存在はhMSCでシステニイルロイコトルエン経路が存在する事を示唆する。システニイルロイコトルエン1型受容体欠損実験では慢性肺炎症の重症度とその後の線維化への関与を示している。ブレオマイシン注入によるマウス全身性硬化モデルでは、トランスフォーミング増殖因子(Transforming Growth Factor-β,TGF-β)抗体を用いると皮膚においてシステニイルロイコトルエンの最大の供給源である肥満細胞や好酸球の流入が減少。hMSCはプランルカストの種々の容量で増殖刺激とはならなかった。コラーゲン様線維の突出と微小絨毛の排出など形態変化は粗面小胞体の出現と一致し、細胞分化とタンパク質の分泌を示していており、免疫細胞染色、免疫電子顕微鏡所見などから、細胞質及び細胞外分泌タンパクはhMSC由来であると推察された。核の微細構造は未分化のままであり、プランルカストは細胞膜の特異受容体由来で情報伝達することと一致する。核は未分化で細胞質はシステニイルロイコトルエン経路遮断のため分化している。システニイルロイコトルエン1型受容体の遮断は細胞増殖ではなく、細胞分化により密接に関連している。システニイルロイコトルエン1型受容体欠損モデルにおける肺線維症になり、われわれのデータでもhMSCが線維芽細胞様の形態変化を認められた。これらから損傷部位や慢性炎症での標的組織および器官局所の線維化は気道と共に皮膚の線維化(瘢痕化)にhMSCが関連する事を示唆している。
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