研究概要 |
ほとんどの歯科治療には痛みを伴い,また多くの歯科治療の目的に痛みの消退があり,痛みのコントロールは歯科治療において重要な因子となる.痛みの客観的・定量的な測定や表示ができれば,歯科診断や治療に有用であるが,現在まで傷みの定量的測定方法と表示方法はない.痛み信号は発生源から神経を通じて脳に達し,痛みの部位や大きさを感ずることができる. 共同研究者・加藤によるCOE(酸素脳機能イメージング)は頭皮・頭蓋骨を通して大脳皮質に照射した近赤外線の散乱や拡散によって局所毛細血管における酸素交換能を脳機能として測定し,表示するシステムである.本研究では,痛みの制御が可能な,義歯によって生じる痛みの大きさ,部位,治療による痛みの消退による,脳機能をCOE計測した. 計測の結果, 1.義歯による痛みと関連すると考えられる脳機能の変化が,大脳皮質ブロードマン10番地に計測できた. 2.COE計測の反応は敏感で,痛みの発現後1-2秒で脳機能の変化が計測できた. 3.痛みの消退後,大脳皮質における反応は直ちに消滅した.
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