研究分担者 |
植野 高章 岡山大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助手 (60252996)
三島 克章 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (60304317)
山田 朋弘 岡山大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助手 (60335619)
平田 あずみ 岡山大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助手 (40263587)
福永 城司 岡山大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助手 (10284069)
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研究概要 |
ミッドカイン(MK)の歯の発生に与える影響を明らかにすることを目的として,今年度は,MKの局在について免疫組織化学的に検索した.Mitsiadisらは,菅状期・帽状期・鐘状期歯胚においてMK局在は時期によって上皮側あるいは間葉側,すなわちエナメル器あるいは歯乳頭に移ることを報告している.われわれは歯根形成期歯胚を用いて検索したところ,MKは象牙芽細胞,セメント芽細胞および骨芽細胞に局在することが確認され,歯根形成期へのMKの関与が示唆された.MKの作用機序としてはMKレセプターが未だ単離・同定されていないものの,この系とは別に,細胞内で直接作用する可能性や他の因子との関連が報告されている.一方,前述のMitsiadisらの報告では歯胚発生期の微小環境においてFGF2の存在がMKの作用を左右することを示唆しており,これらの見地と,さらに,歯根・歯周組織形成へのFGF2の作用を明らかにする目的で,われわれは歯根形成期歯胚におけるFGF2およびFGFレセプター(FGFR)の局在についても検索した.FGF2は象牙芽細胞,歯根膜線描芽細胞,セメント芽細胞および骨芽細胞に強い反応が認められ,歯根膜にもびまん性にFGF2陽性反応が見られた.一方,Hertwig上皮鞘細胞および歯根膜線維芽細胞周囲にはFGFR-1の局在が観察された.これらのことより,歯根・歯周組織形成期には,歯乳頭や歯小義由来細胞が産生するFGF2が,FGFR-1を介して歯根膜線維芽細胞の増殖およびHertwig上皮鞘の歯根形成誘導に重要な役割を担うことが示唆され,MKの局在性よりMKの作用機構へのFGF2およびFGFRの関与が推察された.MKのシグナル伝達系については,TGF-βスーパーファミリーとのクロストークも重要視されており,現在,歯根形成期歯胚におけるBMP-2,4,7の局在性について検索しており,歯根形成へのMKの作用機構の解明について更なる検討が必要と考えている.
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