研究概要 |
前年度までのエスノグラフィーの継続として,アメリカ合衆国ロサンゼルスにおいて,子育て期にある日本人家族6家族への半構成面接,参加観察,既存資料の収集などを実施した.半構成面接の逐語録の分析には,質的データ分析ソフトウェアMAXQDAを活用した.量的な調査方法としては,家族機能尺度(SEFF:The Survey of Ecological Family Functioning),家族の属性に関する自記式質問紙を用いた.逐語録,参加観察のフィールドノーツ,既存資料から39のカテゴリーを抽出した. 日本(日本人と日本華僑・華人の家族),アメリカ合衆国(日本人の家族帯同赴任家族)を対象としたこれまでの研究成果から,エスノグラフィーと家族インタビューによる家族機能のアセスメント方法を試作した.方法論としては,エスノグラフィー(質的研究)と家族機能尺度を用いた調査(量的研究)を実施し,家族機能の理解・評価を行う.エスノグラフィーでは,家族への半構成面接,家族の焦点観察・選択的観察,既存資料の収集などを実施する.家族インタビューで使用するツールとして,家族同心球環境モデルにもとづいたインタビューガイド,家族構造図の様式を開発した.また,参加観察の記録のために,フィールドノーツの様式を開発した.家族インタビュー時には,家族同心球環境モデルにもとづいた家族機能尺度SEFF,新たに開発した家族の属性を明らかにするための自記式質問紙に回答してもらう.これらのツールと方法論により,複眼的な家族機能のアセスメントが可能となる.
|