研究課題
若手研究(A)
本研究課題では、2光子励起グルタミン酸法を最大限に活用し、生理的刺激下における大脳シナプスの形態と機能の可塑性・安定性を、最も代表的な大脳海馬において定量化する。即ち、細胞の活動電位と2光子励起グルタミン酸法による単一シナプス入力を同期して誘発し、そのタイミングをずらしていくことで、長期増強(LTP)と長期抑圧(LTD)を誘発する。昨年度の結果で、培養海馬の錐体細胞の活動電位とシナプス後部スパイン刺激の時間間隔を前後にずらすことで、スパイン頭部体積の増大と縮小がそれぞれ起こることがわかったので、本年度はその時間を様々に変えることで、変化量との関係を解析した。その結果、増大化・縮小化とも活動電位のタイミングから50ミリ秒以上ずらすと見られなくなり、10-20ミリ秒の間が最も強く反応が誘発されることがわかった。さらにこの刺激の前後で、スパインにおけるAMPA受容体の反応性が、頭部増大の時には増強し、頭部縮小の時には、抑圧されることがわかった。従って、スパインの構造変化と機能変化は、両方向性において非常に強い相関があることが判明した。これらの反応は、NMDA受容体依存的であった。スパイン頭部体積の増大は、刺激スパイン特異的であったが、スパイン頭部の縮小が起こるときには、時折、刺激以外の周辺スパインにおいても頭部縮小が見られ、ヘテロシナプティックな抑圧が起こっていることが示唆された。現在、論文投稿の準備段階にあり、最終的な実験を行っているところである。
すべて 2007 2005
すべて 雑誌論文 (3件)
Neuroscience Research 57
ページ: 1-9
10021187830
Analytical Chemistry 77
ページ: 5861-5869
Neuron 46
ページ: 609-622