研究課題
若手研究(A)
高偏極キセノンの組織縦緩和時間(Tlxe)と脳内酸素濃度の関係を見出し、新しい脳機能測定手法を開発することが本研究の目的である。これまでの研究で、生理状態の違いによりTlxeが変化する可能性が示された。この変化を利用することで、キセノンを用いた病態検出ができるのではないかと考えた。そこで、平成19年度は酸素代謝が異なる病態モデルとして、脳腫瘍や脳梗塞モデルラットを用いて実験をおこなった。尾状核にC6グリオーマ細胞を移植したのち、2週間経過した3匹の脳腫瘍モデルラットについて、偏極キセノン信号のケミカル周波数の変化と縦緩和時間の計測をおこなったところ、スペクトラム形状に変化は観察されなかった。また、キセノン信号の組織減衰時間は13.5±1.9秒であり、正常ラットの11.7±1.8秒との間に有意な差は認められなかった。測定後、病理標本を作製して腫瘍の大きさを確認したところ、腫瘍組織は脳全体のおよそ20%程度の体積を示しており、充分大きい領域に腫瘍が湿潤していた。この実験結果は高偏極キセノンの組織減衰時間に基づいて、腫瘍組織を識別することが困難であることを示したと考えている。また、60分間の中大脳動脈虚血の後、再灌流した脳梗塞モデルラットでは、再灌流後48時間程度で顕著な脳血流量の上昇が観察される。脳梗塞領域では組織状態が大きく変化する。この組織変化が高偏極キセノンガスを用いて検出できるのではないかと考え実験をおこなった。しかしながら、3匹のモデルラットを用いて高偏極キセノンガスを吸入させたときのスペクトラムを観察したが、顕著な変化は観察できなかった。高偏極キセノンガスを用いた研究は挑戦的な研究であったが、これまでの研究においてキセノンでなければ識別できないような脳疾患の検出に成功していない。高偏極キセノンガスを用いたMRIの有用性を見つけていくことが今後の課題である。
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