配分額 *注記 |
30,160千円 (直接経費: 23,200千円、間接経費: 6,960千円)
2006年度: 9,620千円 (直接経費: 7,400千円、間接経費: 2,220千円)
2005年度: 20,540千円 (直接経費: 15,800千円、間接経費: 4,740千円)
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研究概要 |
本年度は,焼却過程におけるダイオキシン類の発生を抑制する化学的手法として尿素の添加に着目し,飛灰上におけるダイオキシン類の再合成機構および抑制機構の解明に関する研究を行った.まず,再合成実験として,活性炭と塩化カリウム,塩化銅(II)二水和物を混合した模擬飛灰に尿素を添加して,管状型の電気炉内で酸素10%,窒素90%の雰囲気下で加熱した後,飛灰および排ガスの分析を行った.尿素の添加量,温度,時間がダイオキシン類の前駆体であるクロロベンゼンとPCBsの生成に及ぼす影響について調べた結果,300℃,120分の条件下では約80%の抑制率が得られた.尿素自体の熱重量示差熱分析を行い,尿素の熱分解生成物との反応の観点から考察すると,飛灰上に分解生成物がとどまることで,ダイオキシン類の再合成を抑制しているのではないかと考えられた.つまり,共存する窒素含有有機物がダイオキシン類再合成への反応を抑制していると考えられた.ダイオキシン類の再合成機構には,有機物および触媒となる金属が関与する.この点を明らかにするために,新たにその場の温度,雰囲気での有機物のラジカル,銅の挙動を観察するため,高温対応のESRのセルを作成し,ラジカル挙動を確認した.この手法によると,尿素の添加の有無によりESRスペクトルが変化し,尿素添加によりダイオキシン類の生成温度域でのラジカル量が減少することが確認された.また,大型放射光を用いたin situ XAFS実験では,銅の挙動に大きな変化は認められないことから,尿素の場合は主に有機ラジカルによるダイオキシン類生成抑制が主なメカニズムであると推定された.以上より,in situ XAFSとin situ ESRを組み合わせることで,これらダイオキシン類の生成機構の解明に格段の知見を与えることがわかった.
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