研究課題
若手研究(A)
昨年度までに、完全反磁性方式の利用は電子ビーム軌道制御に適用できないことが明らかになっため、本年度は酸化物高温超電導体のピン止め効果を利用したバルク磁石モデルによる電子ビーム軌道制御の可能性について調査・研究を行った。酸化物超伝導体試料片(YBCO)を試作し、磁場中冷却による着磁試験を行った。YBCO焼結体による捕捉磁場強度は印加磁場に対してきわめて弱く、有効なピン止めセンターが少ない、焼結体がマルチセグメント化して有効な超伝導電流が流れないといった原因が考えられた。そこで、QMG法により製作された超伝導体試料片を購入し、同様の着磁試験を行った。その結果、印加した磁場5kGに対し1kG以上の捕捉磁場を確認できた。世界的には29Kまで冷却した場合17Tまで捕捉するというデータもあり、電子ビーム軌道制御への適用の可能性が高いことが判明した。そこで、静磁場計算コードを用いて当初計画の最終目標であったスタガードアレイ型アンジュレータに応用した場合のビーム軸上磁場分布の計算を行った。その結果、既存の永久磁石を用いた場合よりも強力なビーム軸上磁場が生成可能であることが明らかになった。ピン止め方式によるバルク超伝導磁石をアンジュレータに応用することで、これまで困難であった短い周期での交番磁場の生成、電子を螺旋運動させ円偏光を生成するための周期磁場の生成が可能になり、アンジュレータ放射光の波長可変能力や偏光可変性の性能が大きく向上し、光物性研究、化学反応の波長選択性を利用したクリーンエネルギー創生、生命起源の研究などへの利用が期待できる。特に、近年進展が著しいTHz帯域の大強度レーザーへの応用が期待できる。
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Proceedings of he Eighth International Topical Meeting on Nuclear Applications and Utilization of Accelerators (AccApp07)
ページ: 189-195
Proc.of the FEL 2006,2006/8/28-9/1,Berlin, Germany
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