研究課題
若手研究(A)
単層カーボンナノチューブは、理想的な1次元構造を有しその光学応答(光物性)に興味が持たれ現在盛んに研究がなされている。しかしながら、その直径や螺旋度によって電子状態や光物性は個々のナノチューブによって著しく異なり、マクロな光学測定だけからでは十分な情報を得ることができない。そのため、光物性の解明には一本のナノチューブでの分光測定などの高い技術が要求される。そこで本研究では、単一カーボンナノチューブ分光をツールとして、カーボンナノチューブの新しい光物性・機能性の発現などを探ることを目的とした。まず、低温での単一ナノチューブからの発光スペクトルを詳細に調べたところ、一本のナノチューブにも関わらず、ダブルピークを示すものとシングルピークの発光スペクトルが観測された。ダブルピークのスペクトルは、時間とともにエネルギーなどがゆらぐスペクトル拡散現象を示している。このスペクトル拡散について、シュタルク効果を考慮した解析によって、その振る舞いを説明できることがわかった。つまり、このようなナノチューブでは1次元励起子状態と局所電場によって局在した0次元的な状態が混在していることが明らかとなった。さらに、超短パルスレーザー光を利用してナノチューブを強励起した際に起こる、励起子多体効果について調べた。その結果、1本のナノチューブに2つ以上の励起子が生成されると励起子間でオージェ過程が非常に高い効率で起こることがわかった。このオージェ過程は数psの時間オーダーであり、励起子の位相緩和時間に影響を及ぼすことが明らかとなった。
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http://www.kuicr.kyoto-u.ac.jp/a_topics/topics_080229.html