研究課題/領域番号 |
17684014
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研究種目 |
若手研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物性Ⅱ
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
田口 康二郎 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (70301132)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
30,420千円 (直接経費: 23,400千円、間接経費: 7,020千円)
2006年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2005年度: 25,220千円 (直接経費: 19,400千円、間接経費: 5,820千円)
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キーワード | 層状構造 / 超伝導 / 少数キャリア / ラマン散乱 / 電子格子相互作用 / クーロン相互作用 / プラズモン / BCS理論 / インターカレーション / 相分離 / 動的クーロン相互作用 |
研究概要 |
今年度は、前年度に引き続き、ドーピング量を変化させたLixZrNCl単相試料の合成を行い、これを用いてラマン散乱、光学反射率、ホール係数などの測定を行った。合成した試料が単相であることは、全ての試料に対してSPring-8における放射光を用いたX線回折実験を行うことにより、確認した。母物質およびLiをドープした計6個の試料に対して低温ラマン散乱実験を行い、フォノンの線幅の温度およびドーピング依存性を明らかにし、このデータの解析から電子格子相互作用のドーピング依存性を明確にした。この結果、電子格子相互作用は、ドーピングの減少とともに弱くなっていることが明らかになった。このことは、前年度に見出した、ドーピングの減少とともにTcが増大する振る舞いと、単純なBCS理論の枠内では相容れない振る舞いである。そこで、この系が少数キャリアであることから、キャリア間のクーロン相互作用の遮蔽が通常金属のように十分ではなく、クーロン相互作用の動的部分、すなわちプラズモンの寄与が、フォノンに加えて超伝導に重要であることが示唆される。また、この系における初めてのホール効果測定に成功した。ホール係数はほとんど温度変化せず、キャリアの散乱率がフェルミ面上で等方的であることを強く示唆している。さらに、この系における初めての光学反射率測定にも成功した。絶縁体の母物質にLiをドープすると、プラズマエッジを伴った金属的な反射帯が現れ、ドーピングとともにプラズマエッジが高エネルギー側にシフトする様子が明瞭に認められた。プラズマエッジのドーピング依存性から、キャリアの有効質量を見積もり、これが以前に測定した電子比熱係数から求めたものとほぼ等しい値を与えることがわかった。
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