配分額 *注記 |
29,900千円 (直接経費: 23,000千円、間接経費: 6,900千円)
2007年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
2006年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2005年度: 16,770千円 (直接経費: 12,900千円、間接経費: 3,870千円)
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研究概要 |
本研究はSrTiO3単結晶において「酸素同位体置換による強誘電転移の制御」と「静電キャリア濃度制御による超伝導転移の制御」を同時に遂行することで未知の現象を探る研究である。前者の制御に用いる同位体置換炉の納入が大幅に遅れたこともあって研究計画の変更を余儀なくされてしまった。そのため,これまでは,「静電キャリア濃度制御による超伝導転移の制御」の研究のみに多くの時間を割くことになったが,そこで驚くべき現象を発見した。ひとつは超伝導である。これはもちろん本研究の目的に掲げていたことであるのだが,この超伝導がさらに2種類に区別できることも判明した。長時間高い電圧をかけたことで酸素欠損が生じたためにおきるバルク的な超伝導(電圧で制御できない)と,静電場により誘起された2次元電子系の示す超伝導の2種類である。後者はゲート電界によって制御が可能であり,電界効果で連続的かつ可逆的に超伝導を制御してみせた世界で最初の報告例となった。さらに当初は予想すらできなかった驚くべき現象も観測した。これは低温で2次元電子系が示す良く知られた現象ではあるのだが,信じられない条件の下で発現したことになってしまうため,あらゆる実験的な誤りの可能性を排除しないと公表できない。そのため,この1年間は,多くの時間を割いて,地道な検証作業に取り組むことになった。パリレンという有機絶縁体を介して200V以上のゲート電圧を印加するという不安定な実験である上に,現象が100mK以下の極低温で起きるものなので実験が難航し,現在も苦心しているところである。したがって,まずは超伝導の発見などにポイントを絞って,順次,論文を投稿しているところである。このような状況のために,同位体置換の研究の方はまたもやスケジュールを変更せざるを得なくなったが,装置も揃い,方法も確立してきたので,今後の研究で必ずや成果を出して行きたい。
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