配分額 *注記 |
13,650千円 (直接経費: 10,500千円、間接経費: 3,150千円)
2007年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2006年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2005年度: 6,760千円 (直接経費: 5,200千円、間接経費: 1,560千円)
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研究概要 |
本研究は,新素材カーボンナノチューブ(CNT)を電子銃に用いた超小型X線管を1次X線源に用いた小型軽量な月惑星探査用X線蛍光回折分析器の開発を目的とする。その実現に必須な技術が,X線管の超小型化である。前年度には,構造の単純な正負2電極のX線管試作1号機を完成させた。その性能評価により,岩石の主要元素分析が数分間で可能なことを証明した。 本年度は試作1号機の動作性能をより追究し,負荷電圧依存性や時間安定性を評価した。負荷電圧8KVで岩石の主要元素分析が数分間で可能なことに加えて,輝度安定性も良好であるが,CNTからの脱ガスによる管内の真空度低下が稀に発生し,輝度が低下する現象がみられた。真空度の保持、向上が性能と寿命の両面で重要なことが示唆された。今後の搭載化に向け,小型ゲッタポンプの搭載による真空度保持を検討した。ガス吸着容量,機構および熱設計の検討により,数ミリメートルの寸法・数グラムの重量の増大で搭載できる目処が立った。この試作・評価は今後の課題である。 一方,加速電圧の微調によりXの輝度やエネルギー域を任意に変更できる電極グリッドを挿入した試作2号機を製作した。しかし,3KV以上の負荷で管内に放電が発生したため,その原因究明に時間を費やすことになった。原因は製造時に混入した塵の影響と考えられ,設計上に問題はないと判断し,再び組み上げた。現在も2号機を用いた機能・性能の評価を進めている。 なお,数値シミュレーションと性能の比較も行っており,試作1号機の実験結果とよい一致を示している。このことは,機器の内部構造やターゲット材の変更などの設計の最適化をシミュレーションを基に進められることを示した。本研究の結果は将来の搭載化に向けた基盤技術の確立に大きく貢献したと確信する。
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