研究課題
若手研究(A)
氷・クラスレートの固体NMRで実績のあるカナダ国立研究所に滞在して、理論的側面から多重パルスの氷への応用について評価を行い、応用がより容易なパルス系列を検討した。またクリーンな水素貯蔵材料として有望視される物質であり、重要な惑星物質でもある、水素ハイドレートに対する高圧NMRの応用を行った。クラスレートハイドレートとは、水分子と各種のガス分子に圧力をかけて合成される分子間化合物の結晶である。見かけは氷にそっくりな物質であるが、内部にガスを貯蔵できるという応用上の特徴がある。水素のクラスレートハイドレートは合成に圧力が必要であるが、素材が安価かつ無害であることから、水素社会に向けた新しい水素貯蔵材料としての応用が期待されている。本研究では、耐圧容器に試料を封入した状態で高水素圧力をかけて、そのまま核磁気共鳴会光(NMR)を行うことで、ハイドレートへの水素の吸収・貯蔵・放出過程をリアルタイムに測定することに初めて成功した。さらに固体ハイドレート中の水素の拡散速度測定にも初めて成功した。その結果、粉末にした固体状態のハイドレートと水素ガスとを反応させれば、従来よりもはるかに速い、工業的な応用ができる速度で水素の貯蔵と放出を起こせることがわかった。また高圧下でガスハイドレートの結晶成長を光学観察しながら、NMRにより取り込まれたゲストの定量を行い、さらに緩和時間を使ってその分子運動を観測することにも初めて成功した。
すべて 2007
すべて 雑誌論文 (3件)
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