研究課題
若手研究(A)
本研究では、可逆的な結合・解離システムを高分子材料に導入することにより、動的な特性を有する次世代型高分子材料を創製することを目的とする。前年度は、アルコキシアミン骨格のラジカル交換反応を利用した直鎖状ポリマーと星型ポリマー間の構造変換について検討した。今年度は、ラジカル交換反応のダイナミクス解析および、交換反応により得られた星型ポリマーのキャラクタリゼーションを走査プローブ顕微鏡観察に基づき行った。具体的には、原子移動ラジカル重合により合成した、自己架橋型ブロック共重合体の結合組み換え反応により星型ナノゲルを合成した。反応は副反応を伴わず速やかに進行し、系のゲル化は観測されなかった。得られた高分子高次構造体の形状は、多角度光散乱測定、小角X線散乱測定、プローブ顕微鏡観察などにより行い、それぞれ分子量、回転半径、形状に関する情報を得た。これらの結果より、数十ナノメートル程度のゲルより複数の高分子鎖が伸張した星型構造を有していることが明らかとなった。また、反応時間依存性を評価することで、星型ナノゲルの構造が熱力学的に再安定であることを明らかにした。さらに、ブロック共重合体の組成により星型ナノゲルの形状を制御できることを示した。星型ナノゲルからブロック共重合体への構造変換反応についても検討し、過剰のアルコキシアミン存在下、結合組み換え反応を行うことで、直鎖状の高分子が再生することが明らかとなった。自己架橋型ブロック共重合体にも、二種類の相補的な反応性を有するブロック共重合体を設計・合成し、同様に直鎖状ポリマーと星型ナノゲルの可逆的な構造変換系が成立することを示した。
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