研究課題
若手研究(A)
前年度までに金属イオン伝導体を用いた金属基板の微細加工、および酸化物イオン伝導体を用いたカーボンセラミックスの微細加工が固体電気化学的手法により実現することを明らかにした。本年度は酸化反応によって局所消耗すると考えられるカーボン以外の非酸化物セラミックス(炭化ケイ素)を対象として固体電気化学微細加工の可能性を調査した。セラミックス材料は硬くて脆く目的形状への加工が難しいと考えられる。一方、炭化ケイ素は低酸素分圧下での熱処理により酸素ガスと反応し、揮発性の一酸化ケイ素(SiO)およびCO,CO_2を発生して消耗することが知られている。そこで、不活性雰囲気中で炭化ケイ素表面に酸化物イオンを部分的に照射することで局所エッチング(微細加工)が起こると考えられる。具体的には炭化ケイ素セラミックスと酸化物イオン伝導体である安定化ジルコニア微小体との界面に、炭化ケイ素側を陽極として窒素雰囲気中で直流電圧を印加した。安定化ジルコニアから供給される酸化物イオンと炭化ケイ素との微小接触部における固体電気化学反応の進行を期待した。低温域(〜900度)では炭化ケイ素の消耗は起こらず、接触部にシリカ(SiO_2)層が堆積した(パッシブ酸化)。一方で高温域(〜1100度)では安定化ジルコニアと炭化ケイ素の微小接触部に窪みが生成した。つまり、炭化ケイ素が酸化的に消耗し、微細加工されていることが明らかとなった。また、窪み表面は多孔構造となっており、酸化反応により生成したガスが炭化ケイ素表面の薄いシリカ層を介して放散したことが示唆された(アクティブ酸化)。さらに、安定化ジルコニアの接触形状を変えることで炭化ケイ素表面に多様な表面起伏構造を構築することができた。
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