配分額 *注記 |
28,990千円 (直接経費: 22,300千円、間接経費: 6,690千円)
2007年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2006年度: 10,010千円 (直接経費: 7,700千円、間接経費: 2,310千円)
2005年度: 14,820千円 (直接経費: 11,400千円、間接経費: 3,420千円)
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研究概要 |
電子の電荷とスピン両方の性質を同時に取り入れて,新機能素子の実現を図るスピントロニクス技術が大きく注目されている。強磁性を示す半導体物質はスピントロニクス分野のキーマテリアルであると目されている。本研究は,研究代表者が初めて合成に成功した強磁性半導体新材料である(Zn,Cr)Teを用いたスピン依存伝導素子を作製し,その動作を実証することを目的とする。具体的には,トンネル磁気抵抗素子およびその半導体的(絶縁体的)な性質を利用したスピンフィルター磁気抵抗素子の実現に挑戦する。 本年度は,1)(Zn,Cr)Teを強磁性障壁層とするFe/(Zn,Cr)Te/InAsスピンフィルター素子の作製と伝導特性の評価1,2)Fe/ZnSe/(Ga,Mn)Asのスピン依存トンネル分光測定を行った。まず,1)の素子において,電流増幅素子への応用が可能である負性抵抗特性が生ずることを発見した(応用物理学会で発表,論文投稿準備中)。現在までのところ明瞭な磁気抵抗効果は得られていないが,同素子を発展させることにより,メモリ機能と増幅機能を兼ね備える新規デバイスに繋がる可能性を示した。2)の研究は,本プロジェクトの研究過程で見出した高性能磁気抵抗素子 Fe/ZnSe/(Ga,Mn)Asを用いて,未だ不明な点が多い強磁性半導体(Ga,Mn)Asの電子構造を解明するために行った。その結果,(Ga,Mn)Asのスピン分極した電子状態を世界で初めて定量的に評価することに成功した(J.Appl.Phys.誌およびAppl.Phys.Lett誌に掲載)。今後,同様の測定手法を用いることにより,(Zn,Cr)Teの電子状態の解明にも役立つことが期待される。
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