配分額 *注記 |
25,220千円 (直接経費: 19,400千円、間接経費: 5,820千円)
2007年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2006年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2005年度: 16,120千円 (直接経費: 12,400千円、間接経費: 3,720千円)
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研究概要 |
反強磁性体中では電子スピンが互いに逆向きに配列している.昨年度,反強磁性体への高強度光パルス照射によりテラヘルツ波パルスの放射を確認した.電子スピンの応答は通常高速でないと考えられているが,マクロな磁化のない反強磁性体ではサブピコ秒程度の高速な応答を示す可能性を示唆する.本年度は放射機構を議論するため,フェムト秒レーザー照射反強磁性体(酸化ニッケル)からのテラヘルツ波放射特性について詳細に調べた.テラヘルツ放射特性の試料温度依存性(反強磁性転移温度523 K以上まで変化)励起レーザー強度及び偏光依存性を測定した.その結果,温度の上昇とともにテラヘルツ波強度は減少するが,反強磁性転移温度以上の常磁性相でもテラヘルツ波放射が存在することがわかった.またテラヘルツ波放射波形には反強磁性共鳴周波数に対応する振動が観測された.その振動周期は励起光パルスに依存することを見いだした.これはNiOからの光ポンプ-テラヘルツプローブ分光の測定結果とも一致しており,光励起によって反強磁性秩序が擾乱されていることを示している.さらにテラヘルツ波強度の結晶方位(角度θ)依存性を調べた結果,cos2θのパターンを示した.(なお用いたNi0は双晶であり,特に熱処理はしていないためドメインの大きさはレーザースポット径よりも十分に小さい.)上記の結果を検討した結果,テラヘルツ波放射機構としてNiイオン3d電子のd-d遷移が関与した2次非線形光学効果によるものが考えられる.
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