研究課題
若手研究(A)
将来の天文観測応用や産業応用を目的として、超伝導トンネル接合素子(STJ)を用いた超高感度テラヘルツ光検出器アレイの開発、及び、そのイメージングシステム化に向けた研究開発を行っている。最終年度にあたる当該年度は、昨年度までに作製したSTJ検出器2次元アレイ(最大36画素)と無冷媒0.3K冷凍機システムを組み合わせて、広範な応用分野の開拓へ向けた検討を進めてきた。まず、2次元アレイの光学特性を評価するために、フーリエ変換分光器を用いてSTJ検出器25(5×5)画素分の周波数感度特性を測定した。その結果、25画素全てで中心周波数0.65THz(帯域幅〜0.1THz)のバンドパス特性を示し、その個体差は約1.3%の周波数範囲内で同等という優れた均一性をもつことを確認した。次に、後進波管をテラヘルツ連続波光源とするイメージングシステムへSTJ検出器2次元アレイを適用するための光学系改良とともに、その多系統信号を同時に読み出すための回路系を構築することで、2次元アレイを用いた初のテラヘルツイメージングに成功した。25画素アレイを用いた場合には1画素検出器に比べて最大25倍のスピードで画像取得が可能であり、近い将来の更なる大規模アレイ化によって、より短時間のリアルタイムイメージング計測が可能になると期待される。また、同時並行して、無冷媒0.3K冷凍機システム内部に設置した検出器ステージやテラヘルツ光の導入窓を最適化することで、低雑音特性をもつSTJ検出器を駆動するに足る冷凍機システムに仕上げた。現在すでに実験室内での評価段階の見通しが立っているため、近い将来にはフィールド(屋外)応用への展開が期待できる。
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