研究課題
若手研究(A)
屋外から室内に移動するなど環境条件の変動を念頭に置き、生活空間における体温調節反応に関して、「個体差」を定量的に表現し、その分類を行うことを目的として、非定常過程での被験者実験とそれに対応した人体熱モデルの同定を行った。昨年度までに、1. 非定常過程での被験者実験のデータを蓄積し、2. 1971年版Two-node modelのパラメーター群(皮膚温と深部温のセットポイント値、血流・発汗の制御式の係数値)を、被験者実験一つにつき一組同定するアルゴリズムを開発、同定方法の妥当性を確認し、3. 被験者実験のデータを基盤として個体の特性を反映したパラメーター群を決定できることを確認し、4. 決定されたパラメーター群の生理的な位置付けについて検討を行った。本年度は、以下について検討を行った。5. 体脂肪率や体重などの情報を用いて、各被験者の代謝量、比熱、熱コンダクタンスを経験式から推定し、人体熱モデル(Two-node model)においてそれらの個体差を考慮した場合の計算結果(非定常過程)への影響が比較的小さいことを示した。6. 測定値に基づき各被験者の深部温セットポイント値を推定し、それをモデルにおいて考慮することで、ある程度まで計算結果が実験結果に近づくことを示した。7. 別の人体熱モデル(1986年版Two-node model)を用いた検討を行い、1971年版と同等の結果が得られるかどうかを確認した。基本的には、個体の特性を反映したパラメーター群を同定できるが、外殻率の値が過大である可能性が示された。
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