配分額 *注記 |
29,640千円 (直接経費: 22,800千円、間接経費: 6,840千円)
2007年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2006年度: 12,220千円 (直接経費: 9,400千円、間接経費: 2,820千円)
2005年度: 12,090千円 (直接経費: 9,300千円、間接経費: 2,790千円)
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研究概要 |
安価で比較的容易に入手可能な有機化合物,あるいは単純な構造の有機化合物を構造指向剤(SDA)として用いることにより,新規構造を持つゼオライト物質の探索を行った。計画最終年度である本年度は,引き続き新規構造物質の探索研究を行いながら,合成の対象を拡張し,安価で環境負荷の低い合成法を開発した。 前年度に引き続き,ヒドロキシル基を持つ四級アンモニウムカチオンをSDAとして用いゼオライトを合成した。様々なヒドロキシル基含有SDAから新規構造を持つ層状シリケート物質が得られ,それらを焼成することによりゼオライト物質が得られた。層状シリケートの合成に最適な合成条件(母ゲル中のケイ酸濃度やpH,合成温度など)は,通常のゼオライト合成で用いられる条件とは異なるため,これまでに行われていない領域での合成が可能となった。最終的に得られたゼオライト物質は既知構造物質であったが,この層状シリケートを経由するアプローチが新規ゼオライト合成に対して有効である可能性が示唆された。 次に,同様の単純な構造のSDAを用いながら,工業触媒としても用いられているチタノシリケートへと合成対象を拡張した。この合成法では,チタニアのような安価な原料を粉砕、混合して調製した複合粉に単純な構造のSDAを加え,水蒸気中で熱処理することによりチタノシリケートを結晶化させた。この合成法の開発により,安価な原材料が利用可能なだけでなく,廃液や副生成物の生成無しにチタノシリケートを得ることが可能となった。 なお,これまでの研究成果としていくつかの未知構造物質が得られているが,計画年度内にこれらの結晶構造を解明するまでには至らなかった。ゼオライトの構造解析は一般に困難であるが,得られた生成物の結晶性が低いこともこの原因となっている。これらの未知構造物質については,引き続き合成条件の検討と最適化を行いながら,結晶構造の解明に努めたい。
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