研究課題
若手研究(A)
細胞質ペプチド:N-グリカナーゼは小胞体における品質管理機構に関連する分子である。すなわち、機能的な構造をとれない糖タンパク質、あるいは正しいサブユニット構造をとれない糖タンパク質を分解、除去する小胞体関連分解(ERAD)と呼ばれる過程に関わっており、異常タンパク質が26Sプロテアソームで分解される際に、糖質をタンパク質から脱離させ、その後のタンパク質分解の効率を促進することが示唆されている。昨年度までに我々は出芽酵母に始めて見出したPNGase依存的に分解する基質である植物毒素タンパク質リシンの無毒化変異体を用いたERADのアッセイ法を確立した。今年度はこのシステムを用いて、線虫由来のPNGaseオルソログがin vivoでPNGase活性を持ち、N端側のチオレドキシンドメインと両方をあわせて2重の酵素活性を持つタンパク質であることを明らかにした。本酵素は活性中心のシステイン残基を持ち、線虫において細胞質PNGaseがチオレドキシンとの融合タンパク質として存在することで、この酵素活性が酸化還元レドックス環境に非常に強く影響をうけることが示唆された。また、リシンタンパク質の分解の有無を細胞の増殖でアッセイできるような遺伝学的システムの確立に成功した。この新しいシステムによって、始めてPNGase依存的なERADの分解系の解析が可能になり、既知のERAD経路との共通点とともに、様々な違いが存在することが明らかとなった(田邊ら、発表準備中)。これらの研究によって、細胞質PNGaseのERADにおける重要性がはじめて明らかになった。
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