配分額 *注記 |
28,600千円 (直接経費: 22,000千円、間接経費: 6,600千円)
2007年度: 6,760千円 (直接経費: 5,200千円、間接経費: 1,560千円)
2006年度: 6,760千円 (直接経費: 5,200千円、間接経費: 1,560千円)
2005年度: 15,080千円 (直接経費: 11,600千円、間接経費: 3,480千円)
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研究概要 |
1,バラ科果樹のソルビトール師部濃縮におけるソルビトール輸送体(SOT)の重要性 バラ科果樹のソルビトール師部濃縮におけるSOTの役割を明らかにするために,セイヨウナシでノックダウン形質転換体の作出を行った.形質転換に予想以上に時間を要したが,8系統のノックダウン形質転換体の作出に成功した.これら転換体のフラスコ培養における表現型は野生型と同じであったが,発根培地に移した際に野生型が発根するのに対し,形質転換体では発根がみられなかった.また,葉中のデンプン含量が転換体で高い傾向であった.これらの結果から,SOTがソルビトールの師部濃縮に働くことに加え,ソルビトールが発根などの形態形成に関わる可能性が示された. 2,非ソルビトール合成植物へのソルビトールの合成・転流・変換能力の付与 ソルビトール6リン酸脱水素酵素(S6PDH),ソルビトール脱水素酵素(SDH),SOTの各遺伝子を,それぞれ葉,果実または全身,師部で発現させたシロイヌナズナ形質転換体を作出した.また,それら全てを発現させたシロイヌナズナとトマトの形質転換体の作出にも成功した.S6PDHを発現したシロイヌナズナは,ソルビトールを蓄積するようになったが,生育悪化や花成の遅延がみられた.一方,S6PDH,SDH,SOTの全てを発現させたシロイヌナズナの表現型は,野生型とほぼ同じ生育を示した.これは当初予想したように,ソルビトールを合成しない植物ヘソルビトールの合成能力だけを付与すると障害が出るが,ソルビトールの転流・変換能力を合わせて付与することにより,合成されたソルビトールが全身に運ばれて利用され得ることを示唆している.転換体の詳細な検定は課題として残ったが,本研究によりソルビトールを合成しない植物ヘソルビトールの合成・転流・変換能力を付与することで,光合成活性やストレス耐性が高い植物を作出する道が示された.
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