配分額 *注記 |
18,330千円 (直接経費: 14,100千円、間接経費: 4,230千円)
2007年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2006年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2005年度: 8,450千円 (直接経費: 6,500千円、間接経費: 1,950千円)
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研究概要 |
2つのサブテーマを遂行した。(A)カイコ卵における温度センサー相同体遺伝子のクローニングと機能解析。(B)休眠ホルモン産生細胞群と脳を巡る神経ネットワークの解析。 (A)昨年度は,5つのカイコの温度センサータンパク質(ThemloTRPチャンネル)相同体遺伝子群の部分配列を決定した。本年度はまず,cDNAの全長配列を決定し,発現動態を詳細に調査した。これらのcDNAはいずれもキイロショウジョウバエのものと相同性が高く,機能ドメインも保存されており,カイコにおける温度センサータンパク質をコードしていると考えられた。さらに,いずれの遺伝子も様々な発育時期の様々な組織・器官で発現しており,血球細胞でも高い発現が認められた。これらの結果から,ThermoTRPは変温動物である昆虫の内部組織の急激な温度変化に伴う温度ストレスに対応するために,血球細胞をはじめとする内部組織で発現し,即時的なストレス応答に関与すると推測した。この仮説を検証するために,培養細胞系を用いた活性化温度閾値の測定や遺伝子発現抑制による温度応答性への影響を調査する準備を進めた。さらに,休眠誘導と覚醒への関与を調査している。 (B)昨年度までに,休眠ホルモン(DH)の放出抑制に関わると推測される脳内細胞を同定した。本年度はまず,この細胞でアポトーシス誘導タンパク質(Reaper)を発現させ,DH分泌器官である食道下神経節(SG)でのDH蓄積量に及ぼす影響を調査し,休眠性に及ぼす影響を再調査した。その結果,Reaper発現により,DH量の減少が観察され,非休眠卵産生性に条件付けた個体が休眠卵を産出した。さらに,この細胞の神経投射パターンとDH放出抑制に関わると思われるGABAレセプターの局在性を調査した結果,DHの放出器官である側心体においてDH産生細胞の神経軸索末端と重なり合っていた。今後,DH放出抑制細胞で発現するホルモンの休眠誘導における機能解析と,この細胞と日長や温度情報の受容との関連を調査する予定である。
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