配分額 *注記 |
28,340千円 (直接経費: 21,800千円、間接経費: 6,540千円)
2007年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2006年度: 8,320千円 (直接経費: 6,400千円、間接経費: 1,920千円)
2005年度: 16,640千円 (直接経費: 12,800千円、間接経費: 3,840千円)
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研究概要 |
本研究は絶滅の危機にあるツキノワグマ個体群(以下クマ)個体群を対象に,行動追跡,生理的状態,食物資源量,土地利用の変遷に関するデータを収集,GIS上に統合し,出没要因の解明と出没危機管理体制を構築することにある。本年度は,8頭のクマにGPSテレメトリーを装着・追跡した。これまで装着した個体も合わせ,合計17頭のデータを取得した。その結果,人里付近に出没する個体と非出没個体では,行動特性が異なることが明らかとなった。出没個体のうち,オスの最外郭行動圏は,55.6±55 km^2と広域で個体差が著しく,複数の集落周辺で活動が認められた。出没時の追い払いによって,行動が修正できたケースと,修正できず兵庫県の基準に基づき,捕殺に至った個体もいた。メスでは,30.2±38 km^2と狭く,恒常的に利用するエリアは極めて狭かった。また,特定の場所に固執する行動を示し,追い払いによる行動修正も困難であった。 さらに,非出没個体の行動を明らかにするため分布中心部で捕獲したところ,メスのみが捕獲された。非出没個体のメスは,出没個体のメスより,さらに行動圏が狭く,集落へ近づくことが極めで少なかった。以上より,出没個体と非出没個体の存在が確認され,出没個体は,堅果類の豊凶に関わらず,集落周環境を利用していた。出没、非出没個体の行動圏と1900年代,1950年代の植生図をオーバーレイすると行動辺圏内の約20%が荒地であり・クマが行動可能な森林環境は増加していると判断された。 死亡個体の分析からは,成獣に骨の異常が複数確認され異常割合は,骨そしょう症33%,過形成59%,骨盤奇形7%,脛骨左右非対称7%と極めて高く,遺伝的劣化の影響が示唆された。これらの情報を地図化し,クマの出没頻度の高い地域,遺伝的劣化が示唆され保全上の対策が必要な地域など保護管理に必要な情報を地図化し,保全対策・出没対策マップを作製した。
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