配分額 *注記 |
29,900千円 (直接経費: 23,000千円、間接経費: 6,900千円)
2007年度: 9,750千円 (直接経費: 7,500千円、間接経費: 2,250千円)
2006年度: 9,750千円 (直接経費: 7,500千円、間接経費: 2,250千円)
2005年度: 10,400千円 (直接経費: 8,000千円、間接経費: 2,400千円)
|
研究概要 |
Notch受容体を介した細胞間相互作用による(A)神経系細胞分化制御機構の解明、(B)記憶学習制御機構の解明を目的とするNotchシグナルが中枢神経系の構築ならびに機能発現に重要な役割を果たすことが強く示唆されているが、Notchシグナル分子の欠損マウスは胎生致死する為、生体内におけるNotchシグナルの解析は困難であった。本研究では、1)Notchシグナルの中枢分子RBP-Jを神経前駆細胞もしくは成熟神経細胞にて欠失させNotchシグナル阻害が神経発生ならびに神経機能に与える影響の解析、2)Notchシグナルを抑制するMintをRBP-J同様に欠失させ、Notchシグナル過剰活性化が及ぼす影響の検討、3)RBP-J欠損とMint欠損の比較からNotchシグナルが制御する遺伝子ネットワークの同定を通じて、Notchシグナルが中枢神経系の構築ならびに機能発現に果たす役割の全容解明を計画する。本年度は、1)神経幹細胞特異的にRBP-J及びMintを欠損させ大脳皮質発生に及ぼす影響を免疫組織学的ならびに細胞培養系にて検討した。RBP-J欠損では神経分化が促進されることに対し、Mint欠損では神経分化が遅延することを見出した。さらに、Mint及びRBP-Jをダブル欠損した大脳皮質では、RBP-J単独欠損と同様、神経分化が促進することから、Mint欠損による神経分化遅延がNotchシグナルを介することが示唆される。従って、大脳皮質形成にてMintはNotchシグナルを負に調節することで、適切なタイミングで適切な数の神経細胞を生み出すメカニズムに重要な役割を担うと考えられる(投稿準備中)。さらに、分化した神経細胞にてMintを欠損したマウス脳の解析から、Mint欠損が大脳皮質、海馬を始め広範な領域の低形成を生じること、また、これが分化した神経細胞の細胞死により生じることを明らかにした(Genesis,2007)。加えて、行動学的解析から神経細胞特異的Mint欠損マウスは、ストレス抵抗性を示すことも明らかにした(Genesis,2007)。神経細胞特異的RBP-Jが胎生致死する為、Mint欠損による表現型がNotchシグナルの過剰な活性化によるものか検討する目的で、現在、薬剤誘導による神経細胞特異的RBP-J欠損マウス、Mint欠損マウスの解析を進めている。
|