配分額 *注記 |
30,420千円 (直接経費: 23,400千円、間接経費: 7,020千円)
2007年度: 9,880千円 (直接経費: 7,600千円、間接経費: 2,280千円)
2006年度: 9,880千円 (直接経費: 7,600千円、間接経費: 2,280千円)
2005年度: 10,660千円 (直接経費: 8,200千円、間接経費: 2,460千円)
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研究概要 |
癌におけるエピジェネティックな異常,特にDNAメチル化は近年盛んに研究されているが,その背景にあるメカニズムは依然不明である。本研究者は癌細胞におけるRNAi経路とDNAメチル化との関連を解析するため,大腸癌細胞HCT116およびDICERノックアウトHCT116細胞(HCT116ex5)における遺伝子サイレンシングの状態を比較した。SFRP1,-2,-5,CHFRなど既知の遺伝子の発現抑制およびメチル化に変化はなかった。しかし,SFRP4のCpGアイランドのメチル化減少および発現上昇がHCT116ex5細胞で認められた。そこで次にマイクロアレイ解析により発現プロファイルを比較した。その結果,DICERex5細胞ではWTと比較して約2200個の遺伝子発現上昇が認められた。そのうち約1000個は,WT細胞をDNAメチル化阻害剤5-aza-2'-deoxycytidtneで処理した際に上昇する遺伝子と一致した。さらにマイクロアレイにより同定された遺伝子の中から,ICAM1など8遺伝子のCpGアイランドをbisulfiteシークエンス解析した結果,メチル化の消失あるいは減少が認められた。またChIP解析の結果,DICER ex5細胞のICAM1およびSFRP4のCpGアイランドにおいてヒストンメチル化レベルの変化が認められた。これらの結果から,癌細胞におけるエピジェネティックな遺伝子サイレンシングの維持にDICERが必要であることが示唆された。本研究の結果は,ヒト癌細胞においてエピジェネティックな遺伝子サイレンシングにRNAi経路が関与している証拠となりうると考えられる(Cancer Research,in press)。
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