研究課題
若手研究(A)
NMU欠損マウスは肥満に加えて、骨形成、骨量の増加を示し、NMU欠損マウスの生体内の骨芽細胞の増殖は野生型マウスの骨芽細胞の増殖よりも亢進していた。ところが、野生型とNMU欠損マウスからそれぞれ採取した骨芽細胞をディッシュで培養したところ、両者の増殖に差はなかった。また、骨芽細胞にはNMU受容体の発現が認められず、培養した骨芽細胞にNMUを添加しても増殖や分化に対する効果がなかったため、NMUは直接に骨芽細胞に作用するのではなく、他の組織あるいは細胞への作用を介して間接的に骨芽細胞の増殖を調節するものと考えられた。そこで、NMU欠損マウスの脳室内にNMUを投与したところ、NMU欠損マウスの骨形成および骨量が低下したことから、NMUは中枢神経系(視床下部)に作用して骨形成を調節することが明らかとなった。引き続いて、脳室内にレプチンを投与すると野生型マウスでは骨形成および、骨量は低下するが、NMU欠損マウスでは増加した。また、野生型マウスでみられる交感神経β刺激薬投与による骨量、骨形成の低下はNMU欠損マウスでは認められなかった。これらのことから、レプチン・交感神経による骨形成の調節にはNMUが必須であることが示された。NMU欠損マウスの骨芽細胞における交感神経β受容体の発現や機能は正常であり、また、レプチンは交感神経系を介して骨吸収を促進することも知られているが、NMU欠損マウスにおいてもレプチンによる骨吸収の促進に異常はなかった。これらのことからNMU欠損マウスではレプチンによる骨形成調節経路が選択的に障害されていると考えた。レプチン、交感神経系は細胞の概日リズムを形成する分子時計の発現を調節することで骨芽細胞の増殖を調節するが、たしかにNMU欠損マウスの骨では分子時計の発現に異常が認められ、その結果として骨量が増加しているものと考えられた。
すべて 2008 2007 2006 2005
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)
Bone (In press)
Nat Med 13
ページ: 1234-40
Cell 130
ページ: 811-23
Arthritis & Rheumatism 54 (8)
ページ: 2462-2470
Nature 434(7032)
ページ: 514-514
J Bone Miner Res 20(5)
ページ: 790-790
Biochem Biophys Res Commun 328(3)
ページ: 697-697
J Biol Chem 280(34)
ページ: 30192-30192