配分額 *注記 |
18,330千円 (直接経費: 14,100千円、間接経費: 4,230千円)
2006年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2005年度: 17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)
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研究概要 |
毛髪は生体金属の排出器官の一種であることが知られており,最近では,大型放射光施設(SPring-8)で,数ミリ単位での経時的金属元素分析が可能となっている.また,ヒ素中毒患者の毛髪中のヒ素量やクロム化合物取り扱い作業者のクロム量,脳腫瘍患者の銅・亜鉛・セレンの量については,相関があったとの報告がなされている. 毛髪含有金属の分析はICP(Inductively Coupled Plasma)原子発光分析法を利用して行われることが多いが,本研究では歯科用金属アレルギー患者治療時の歯科用金属分析に用いられる蛍光X線分析装置を利用して,毛髪中の金属元素分析を行い,歯科用金属アレルギーに対する健常者群と歯科用金属アレルギー患者群において比較検討した. その結果,一定量の毛髪を採取することにより蛍光X線分析装置でも金属元素を検出することは可能であった,しかし,健常者群内でも検出金属元素の種類には,ばらつきが大きく,さらに健常者群と患者群で比較しても,アレルギー陽性金属に特異的な検出傾向は認められなかった.また,各患者におけるアレルギー陽性金属と毛髪含有金属についても検討したが,アレルギー陽性金属元素が特異的に毛髪に多量に含有されることはなく,アレルギー陽性金属除去前後数ヶ月間の経日的な変化も認められなかった. 本研究の結果より,金属アレルギー症状のような少量の金属イオンの状態でおこりうる疾患においては,毛髪分析が有用な指標になり得ないと考えられた.
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